学パロ

 

メモ用に書いた筈なのにノリノリになった学園パロ(日本総受け)

 

※ 日本は女の子です。後年齢は実史をまったく考慮してません。
   それからここに登場した人物のみ設定公開です。

 

学パロ
 
 
英日希望者の皆様、ホントごめんなさい……
そしてお兄ちゃんマニアの方々、こんにちは!元気だったかい?(・∀・)鮎は元気そのものさ!寧ろ上腕二頭筋さ!
今回は中日の昼ドラなのか古い少女漫画なのかよく分からない中日小説ですよ。
ベタというか王道というかやっぱり昼ドラというか…!
とにかくそんな感じの恥ずかしい感じな小説ですよ。
ちょっとコレ書いて昼ドラの原作者って凄いな、って思えたんだ。こんなに書くのが恥ずかしいなんて。
 
 
 
中日両思い編 第一話 (11)
 
 
「なんだお前等今日出かけるあるか!」
 日曜日の朝だってこの家の朝食の時間は決まっていて、平日とは一時間半差があるもやっぱり本田荘の住人四人は同じ食卓を囲み食事を摂る。
 その後は当然自由行動で、二度寝しても良いしショッピングなんかに出掛けても良いのだが、この日に限って中国はドイツとイタリアが出掛けることを渋った。
 今日は前々から(中国が勝手に)買い出しの日と決めていた日なのだから。
 荷物持ちが居ないんじゃ、何の為にお前等を飼ってるか分からないある。と、声に出していればドイツ辺りが突っ込みを入れるであろう事を口内で呟く。
「中国さん、二人で行きましょう!」
 味噌汁を啜っていた日本が、茶碗を机に置くとにっこりと微笑んでそう言うのだが、日本に荷物持ちはなぁ、とまだ渋れば日本は唇を尖らせる。
「私だって荷物持ち位できます」
 そんな的外れな主張をされても、と思いつつ「分かった、じゃぁ二人で行くある」と言えば、彼女はにっこりと微笑んだ。
 
 出来るだけ重い袋は自分、軽い袋は日本に回るようにせっせと仕事をしつつ荷物を纏めていく。
 やがて数日分の食料を買い溜めショッピング街を抜けようとした時、前から見知った人影を見つけ、思わず目線を反らす。当然話しかけるつもりは無かったのだが、その人物は自分を認めるとワッと笑った。最悪だ、と心の中で呟く。
「久しぶり、元気してた?」
 相変わらずの高い声と少々キツイ香水を漂わせながら、彼女は笑顔で手を振って近付いてくる。
「まぁまぁある」
 別に悪いヤツでは無い事は重々承知知なのだが、会いたくは決して無かった。自然、眉間に皺が寄る。
 その嫌悪を感じ取ったのか、彼女は少々その笑顔を崩しつつも「確かに可愛い妹さんね」と日本に向き直って笑った。
 彼女が逃げるように去っていった後、暫くあの香水の香りが鼻について取れない。フト後ろを歩いている日本の口数が減ったのを不思議に思い振り返るが、目が合った日本は少しだけ唇を曲げて微笑むだけ。
 朝から曇りがちだった空が、その時急に泣き出した。
 
 結局走って二人で家に向かったものの、天候は雷雨を伴うものとなり二人はまるでバケツの水でも被ったかのようにびしょ濡れとなってしまった。
 時間は午後三時。まだあの二人も帰宅しておらず、外は勿論少々広い家の中は何か寒々しい。
 風呂場で二人分のバスタオルを持ってきて日本に手渡そうとする、が、何か考え事をしているらしい彼女は中々自分が差し出したバスタオルに気が付かない。
「日本?どうしたある?風邪引くあるよ。」
 ボスン、とバスタオルで濡れた黒髪を包みその顔を覗き込むと、彼女は酷く狼狽するようにコチラにその大きな瞳を向けた。
「ほら、さっさと髪乾かして服を着替えてくるよろし」
 未だ玄関に佇んでいた日本の背を押し自室に戻るように促すと、彼女は素直にそれに従う。ただ、やはり少しだけ様子がおかしい。
 自室に引っ込んだ彼女を見送ると、中国は少しだけ頭を傾げた。
 
 午後三時半、未だ自分達兄妹の同居人は帰宅しておらず、この隙にとカチャカチャと音を立てつつ食器を洗っていると、後ろからソッと忍び寄ってくる足音に気が付いた。
 本人は気配を消しているつもりらしいが、いくら体重が軽いからといって武術を嗜んだ自分を誤魔化せる筈は無いのに。と、心の中で笑いながら一体何がしたいのか見極めるのも面倒で、放っておく事にした。
 やがて背後まで忍び寄ると、ガバリとその細い腕を自分の胴体に回して強く抱き付いてきた。
 結構予想外だった為に、持っていたお皿を思わず落としそうになってアワアワと手を動かす。
「にっ日本、どうしたか?」
 もしかしたら何かあったのか、と、恐ろしい思いでも又したのかと、慌てて振り返れば、抱き付いてきた主はギュゥッと目を強く瞑り、引っ付けた身体を尚強く引っ付けてくる。
「中国さん、私……もう、どうしたらいいのか分かりません……」
 抱き付いたままコチラを見上げたその日本の瞳はうっすらと潤んでいて、眉は歪まれる。
「私、自分がイヤです。凄く……イヤです。」
 何か、些細な罪を犯した子供がその罪を告白するように、彼女は溜めていた涙を瞳を細めると同時に零した。
 白い頬に、彼女が幼かった頃と同じように、いくつもの玉を転がす。
「に、日本!話を聞いてやるから、ちゃんと我の分かるように話してくれ。」
 手に付いた泡ごと水分をタオルで拭き取り、泣き出した日本の肩を掴みその顔を覗き込んで問う。が、彼女は自分の顔を覆いフルフル頭を振る。
「言ったら私、きっと嫌われちゃいます。」
 絞り出すように、彼女がそう嘆いた。ああ、一体何が起こっているのか……もはやそれすら分からない。
「日本、例えお前が連続殺人鬼だって、我はお前を嫌いになったりしないから。」たった二人の家族ではないか。生まれてから、ずっと。
 泣き出した日本をどうにか宥めようと、幼い頃にやったように屈み込んで彼女の頭をそっと撫でてやる。
「ホント、ですか……?」
 少しだけ困った様に、その眉を曲げ、やっと涙の引いた瞳でジッと自分を見上げてきた。その仕草まで幼い頃とまるで変わらなく愛らしい。
彼女の問いに頷くと、少しだけ躊躇いがちにその口を開く。
「あの女の人の匂い、前中国さんからしたのと同じ匂いでした。」
 と、日本の一言に中国の宥めるつもりで浮かべた笑顔が思いっきり引きつった。ピキ、と音がしそうな程。
「それに気が付いたとき、凄く……イヤな感じになりました……イヤでした。」
 次の一言を紡ごうと彼女が口も開けるが閉じられ、ギュッと堅く下唇を噛みしめた。
 言った事が相当恥ずかしかったのか、その顔に血が上り赤くそまり体が小刻みに震える。
「なんだお前、やきもち焼いたあるか!我とアイツは只の日直仲間ある。それで匂いが移っただけある。」嘘だけど。
 深刻な顔をした日本に対し、寧ろプッと中国は吹き出し、彼女の頭をポンッと叩き最高にご機嫌がよろしくなったらしく、再び鼻歌を歌いながら皿洗いに戻ろうと体の向きを変えた。
 が、それを日本が中国の腕を掴むことで遮る。
「違うんです、中国さんっ」
 日本は中国から目線を反らし、床を見つめながらそう声を荒げた。
 違うって、何が。日本を振り返れば、彼女はジッと床を睨んだままでその表情は一切自分から見えない、が、明らかに体が震えている。
 言動が変なのは、もしや先程の雨にあてられて熱でも出たからでは無いか…?と不意に思うが、日本の雰囲気から彼女に話しかけることが出来ない。
「私っ……」
 ガバリ、と彼女が顔を持ち上げると、やっぱりその顔は赤くて、思わず手を出しかけるがその瞳に射抜かれればその手も勝手に止まった。
「……私……す、好き、でした。あなたの事が、小さい頃から、ずっと……」
 カタカタと彼女の体が震え、赤い頬が、潤んだ瞳が、ただじっと自分を見つめた。
 
「……え?」
 
 本当に出てきたのは、その一言だった。
 中国の頭の中は混乱も混乱、大混乱。日本が自分に向けて何を言ったのか、思わず自分で頭の中で再現して再び混乱を招いた。
「ちょ……待つある、日本。お前一体何言って……」
 オロオロと頭を抱え込んで彼女に向き直るが、やはり考えが纏まらなくて何も口から出てこない。
「やっぱり、嫌、ですよね……」
 再び泣き出しそうに眉を歪めさせた彼女に、どう言っていいのか分からず思わず下唇を噛む。
「嫌とかそういうことじゃなくて、一応我はお前の兄な訳だから……」つまり、道徳の問題だ。
 嫌とか好きとかそういう以前に、どれだけ溺愛していようと問題は自分達が血を分けた兄妹だということ。
「……すみません、忘れてください。」
 不意に目線を反らされ、俯いたまま吐き捨てるかの様にそう言い放った彼女の、その腕を、思わず掴んだ。震えている。
 俯いていた彼女が、不意にもう一度その顔を上げた。
 その目に涙が溜められているのと逆に、その眉は吊り上げられて何か決意じみたものまで感じずにはいられない。
「それでも、私はあなたが好きなんです!」
 言い放つのと同時に、日本は自分の腕を振り解きダッと玄関に向かって一直線に玄関に向かう。
 名前を呼び、彼女の動きを止めるよりも早く、ピシャンと玄関が閉じられた音が響いた。どこかで、雷の音が響く。
 
 
 あまりにも酷い雨に濡らされて、取り敢えず道の端に生えていた大きな木の下に身を隠す。
 涙が絶えず零れてくるものだから、何度も何度も手のひらで拭うのだけれども、もうそれも間に合わない。
 しゃがみ込んで膝に目を押し当て泣き出してしまう自分も情けない。これからどうしたらいいのか、遠くで聞こえる雨音を聞きながら考える。
 ああ、あんな事言わなければ良かった。すんすん鼻を鳴らしながら、纏まらない考えを懸命にまとめようとキツク目を瞑った。
 勢いで出てきてしまったのだが、どうやって戻ればいいのかも分からない。なんて言えばいいのだろう……
「日本っ!」 その時だった。聞いたことのある声が響き、自分の名前を呼ぶ。
 ガバリ、と顔を上げれば、今酷く会いたかった人物が傘をさして驚いた顔をしてそこに立っていた。
「韓国さん……」
 彼の名前を呼ぶよりも早く、気が付けば駆け寄って抱き付いていた。
 向こうが「わっ」と驚いた声を上げたが、なんだかそうせずにはいられなかったのだ。
「……日本?」
 不思議そうな声で名前を呼んできはするが、泣き出した自分を慰める様に彼は自分の背中を軽くぽんぽんと叩いた。
 それは小さい頃とまったく同じ動作で、何よりも自分を安心させる思い出の一つ。
「日本、オレんち今日誰も居ないから、来ればいいんだぜ!」
 にっこりと笑った彼のその言葉に、いつもだったら断るのに、今日は何故だか頷いてしまう。
 じゃぁ行こう、と手を取られて幼い頃自分達が暮らしていた大きな家の門まで手を取られてやって来てしまった。
 出てきたお手伝い達の奇異な目線に晒されて居心地の悪さを覚えたモノの、自分の二人目の兄は終始笑顔を崩さずに自分の部屋に招き入れてくれる。
 タオルで濡れた髪を拭き、椅子に座らせられて、それから暖かなココアを手渡され両手でコップを包み込むと、冷えた両手の指がじんじんと溶けていくかの様に痺れた。
「兄貴と、喧嘩した?」
 そっとカップに口を当てたまま、思わずドキリと肩が揺れた。喧嘩、というのはおかしいが。
「さっき兄貴から電話が掛かってきたんだぜ。だから、居ないって言っておいたんだぜ」
 と、彼が笑って言うモノだから、思わず日本は顔を強ばらせて韓国を見上げる。と、彼は少し困った様に眉を曲げた。
「たまには、オレが話を聞いてやるんだぜ!」
 ドンッと自分の胸を叩いてみせ、自分の隣に椅子を持ってきてドカリと座る。その手にはいつのまにやら古めかしいアルバムが握られていた。
「三人揃ってる写真は珍しいから、こっちに貼ってるんだぜ」
 そう嬉しそうに述べながら彼が表紙を捲れば、まだ幼稚園を出るか否かの自分と二人の兄がすまし顔で立っている。
 三人揃うことなど、正月とかしか無いのだろう、写真ごとにどんどん自分達は大きくなっていく。
 不意に捲った次のページからは既に中学生の自分達が居て、その頃から枚数が増えていた。
 長い髪の自分が兄妹で映っている写真の数々を眺めているうちに、不意に何かが胸に突っかかった様な心地がして息苦しくなる。
 また涙が盛り上がるのを感じて、思わず瞬きの回数を増やすけれど、どうにもダメだ。泣きたくなる。今日は泣いてばかり。
 ポタリ、と透明な滴が一つそのアルバムの上に落ち、隣に座っていた韓国が顔を上げる気配がした。
「……日本?」
 困ったように顔を覗き込まれるが、この涙を隠すのに精一杯で兄と対峙するのすら困難だ。
「私……この時のままが良かった。変わっていくのなんて、嫌です。」
 無邪気に戯れる事が出来るほど幼いままが良かった。何も考えなくて済む程。
 隣に座っていた韓国は、アルバムに落ちた水滴を裾で拭うと、ゆっくりと、慈しむようにソレを閉じて仕舞う。
「それは、オレのセリフなんだぜ。こんな屋敷に住んだって、結局兄貴も日本も遠くなってく。」
 ふっ、と軽い溜息と伴に彼はにっこりと、それでも少し困った様に笑い、いつもの様にその裾で日本の頬もゴシゴシ擦った。
「それに変わるって事は誰かと出会うって事だし、変わらないと気が付かない事も沢山あるんだぜ。」
 なっ、と笑って頭を傾げさせる彼には、やはりいつも凄いと思わされる。
 何だか元気になってしまう。
「ありがとう、韓国さん。私、もう帰りますね。」
 今ならもう一人の兄と対峙しても何か打開策が浮かびそうだ。
韓国さんは玄関まで送ってくれ、傘を一本手渡してくれた。空は雨の所為ではなく、もう夜の八時なのだから当然暗い。
 そっと傘を開いて幾分小降りになった雨空の下、数歩歩いてようやく目の前の街灯の下に傘をさした誰かが立っているのに気が付いた。
「……中国さん」
 彼の名前を呼べば、彼は幼い頃自分を宥めた時と同じ笑顔を浮かべる。
「日本、家に帰るある。」
 目の前に出された手を、自分は条件反射の様に掴んでしまった。小さな頃から、いつだってそうだった。
「お前に、ちゃんと話したい事がある。」
 家に帰ったら。 そう告げる真剣な兄の声同様、兄の手はいつもと同じ様に冷たい。
 いつの間にか小振りだった雨が止み、厚く月光を閉ざしていた雲が割れ、一筋だけ月光が地上に注がれた。