学園パロ3

 

メモ用に書いた筈なのにノリノリになった学園パロ(日本総受け)

 

学園パロ 第3話

 

 

設定

 

アメリカ君は一年生で大富豪の一人息子。ただ今寮暮らし。
イギリスとは昔仲良かったらしいが、いつまでも子供扱いされるので最近嫌である。
で、この年になって本気で恋を知りました。
お相手は最強の兄を持ち最強に鈍感なおんにゃにょこの日本。
猛アタックをするけれども、気が付いてくれない。
 
 
あらすじ
 
韓国さんに慰められ一緒に授業を抜け出し二人で屋上にて日向ぼっこをしました。面倒なので書きません。
お兄ちゃんは日本が一人で帰る事になる日は部活を休む!と宣言。
困る日本。一応部長さんじゃありませんでしたか? お前が道々で又変な男に引っかけられて無いか心配で的が三つに見えるある。
とか言われます。二日経ったらお兄ちゃんは小分けにして 用心が足りない 知らない人と話してはいけない。 等と、
昔日本が小学生低学年程の時言っていたセリフを言うようになりました。
二回ぶっ倒れたときのたんこぶがちょっと痛いらしいです。
噂がどんなになってももう気にしない事にしました。では
 
 
 
「ねぇ、日本、ねぇねぇ」
 またいつもの様に、朝校門で待ち受けていたアメリカが日本の姿を見つけるとタッタカと走り寄ってきた。
 すかさず中国とドイツの眉間に深い深い皺が寄り、鼻歌を歌っていたイタリアがそれに気が付きヒィィッと静かに震える。
「…なんでしょうか。」
 彼女には珍しく、ぶっきらぼうにアメリカを見やる。毎日毎日こうなのだから仕方が無いかもしれない。
「一昨日君の教室まで行ったんだよ、オレも」
 君が心配だったんだ!でも君は居なかった!とアメリカは口を尖らせて主張するが、日本は はぁ とやり過ごす。
 その様子を見ていたアメリカは足をピタリと止めて、珍しく眉間に皺を寄せて日本を不服そうに眺めてから言った。
「ねぇ日本、君は分かってないよ」と。
「何がですか?」
 日本も眉間に皺を寄せ、唇を尖らせて足を止めるとアメリカをジトッと眺める。
 見守っていた中国も、ドイツも、ついでにイタリアもピタリと歩みを止めた。
「君の事が好きな人は、みんな君が心配なんだよ。」
 それは確かに告白だった。誰がどう聞いても、アメリカの『君が心配だったんだ!』らへんから聞いた人も、足の下に居る蟻すらも、きっとそれは告白だったと頷くだろう。
 けれど蟻より鈍感な日本は、再び はぁ と言った。中国も思わず違う意味ではぁ、と息を吐いた。
「やっぱり分かってない。」
 アメリカの眉間の皺が益々よっていき、その顔に陰まで落ちそうだった。
 あなたの言っている意味が分かりません。 と日本がアメリカに言い放とうと、彼に向き直った瞬間、右肩をグイッと掴まれる。
 強制的にアメリカと真正面から向き合う形になってしまった日本は、え?と思わず目を見開いた。
 それからチュッと音を立てて、確かに互いの唇が触れあった。
 あ、とその場に居た人全員が言った。否、中国は此処に表記出来そうも無い叫びだったかもしれない。
 しかし、中国の蹴りがアメリカの後頭部に飛ぶよりも、ドイツが胸ぐらを掴んでくるよりも早く、パシッと鋭い音が走った。
 あの大人しい日本が、アメリカの右頬に思いっきり平手を打ったのだ。
 っつ。と彼が小さく呻いた。
「…な、何するんですか…」
 涙ぐんだ日本がグッとアメリカを睨み付けるが、右頬に手を当てたアメリカはケロッとした顔で日本を見返した。
「君が好きなんだよ。もうずっと言ってるじゃないか。君は自分を見下しすぎている。君は君に失礼だよ。
 いっておくけど、オレは自分が間違ってた事をしたと思ってないから。」
 日本は無言のまま眉を吊り上げると、持っていた平らの鞄をアメリカの顔面にバンッと音を当てて投げつけて、後ろを振り返らずに学校内に駆け出してしまった。鞄が顔に当たったアメリカは、顔を押さえながら思わず涙目になる。
 その鞄を拾い上げて日本を追いかけていったのは、意外な事にイタリアであった。
 暫く固まっていた中国はツカツカとアメリカに寄ると、ペシッと音を立ててその頭を一回はたく。アメリカが屈んでいたお陰で、その手は難なく届いた。
「お前の言ったことは間違ってねぇけど、お前のやった事は大間違いある。」
 フンッと一度鼻をならすと、中国とドイツも学校内に入っていった。残されたアメリカは唇を尖らせて小さな声で「チェッ」と呟く。
 
 
「日本、いいのか?」
 何事も無かったかの様に上履きを履く中国に向かってドイツが呼びかけた。勿論、日本の所に行かなくていいのか?という意味である。
 あまりに抽象的な物言いでも中国は読み取って、つまんなそうな顔をしてみせる。
「我はあいつの兄ある。兄はそういう事には首をつっこまないものある。そういうのが得意なのは、意大利ね。」
 あ、とドイツは思わず呟いた。そうだ、あいつは日本を追いかけていったんだ。
 
 
「日本っ!待って日本!」
 バタバタと二個鞄を抱えながら、目の前の少女をイタリアは懸命に追いかけ続けた。
 マラソンは苦手だ。逃げるのは得意だけれど、激しい運動は苦手だ。でも、女の子を追いかけるのは、きっと、得意だ。
「日本!」
 ピョン、と思わず飛びつくと、二人で廊下に倒れこんだ。酷い音はしなかったから、怪我は無いだろう。
 もう予鈴が鳴ってしまっていたので、廊下には二人以外誰もいなかった。
「イ、イタリアくん…」
 振り返った日本は泣いては居なかったが、酷く困惑していた。
「日本、鞄投げちゃダメだよ。勉強道具が入ってるのに。」
 ね、と笑いかけると日本も少しだけ笑いながらそっとその鞄に手をかける。
「あの、私、どうもアメリカさんが苦手なんです。どう接して良いか分からなくて…」
 うんうん、と日本に笑いかけながらイタリアが頷く。
「でもね、オレはアメリカの気持ち分かるよー。」
 え? と日本がその瞳を大きくさせてイタリアの顔を覗き込んだ。イタリアは日本に、にこにこと笑いかける。
「だってオレもね、アメリカと同じで日本が大好きなの。日本はいつもご飯大盛りにしてくれるでしょ。
 宿題も教えてくれるし、日本が笑うと幸せになるんだよ。あとね、ドイツも大好き。ハンガリーさんやオーストリアさんも、フランス兄ちゃんも。
 オレの国ではそういう人のほっぺたにキスするんだよ。ハグしたりね。あなたが大好きですって。」
 大きな目を瞠って自分を見ている事を確認してから、イタリアは話を続ける。
「だから、日本が殴られたりしたら、日本が大好きな人はみんな悲しくなるんだよ。
 もし日本が酷い目にあったら、辛いのは日本だけじゃないし、みんな悲しい。」
 中国は勿論、オレやドイツだって…アメリカだってそうだったんだ。 とイタリアが首を傾げながら問いかける様に笑った。
 俯いた日本の瞳からポロリと涙が零れるのを見て、イタリアがワァッと慌てたが、再びイタリアの顔を見上げた時笑みを称えているのを見てイタリアも一緒に柔らかに微笑んだ。
 それから一度、日本の頬に唇を落とすと裾で日本の涙を拭いてやってから、バイバイと大きく手を振りつつ他の教室に向かって走り出した。
 
 
「待つある!」
 放課後、帰り支度を終えて寮に戻ろうとしていたイギリスを呼び止めたのは、中国であった。
「お前のヘタレを見込んで頼みがあるね。」
 頼む態度にしては嫌にデカく、更にムカツク事仕様の無い物言いだ。それでも聞いてしまうのは、彼が彼女の兄故か。
「今日我は日直で、しかも今日に限って先公の手伝いしないといけないある。
 んで、意大利達は委員会がどうしても抜け出せないある。…言いたい事分かるな?」
 唇を尖らして『不服』丸出しの彼が言った事の本当の意味を理解しつつも、「分かった」と言えない自分の気質が憎い。
 アメリカが「君はプライドが高すぎるよ!」って随分昔に言ったのを思い出して再びむかっ腹が立つ。畜生。
「断る」
 一言言ってスタスタと廊下を歩いていこうとした後ろから
「お前がそんなにヘタレだとは知らなかったあるー!」
 という叫び声が聞こえるが、そのまま無視して行った。
 
 
 今日は中国さんと一緒に帰れないけど、違う人に一緒に帰ってくれるよう頼んだ。なんて、ハッキリ言ってやり過ぎな気がする。
 そんな人に迷惑をかけなくて良い気がするし、あんな自分を襲うという物好きの人がそう居るとはとても思えない。
 しかもその人がいつまで待っても教室に来ないのだから『もう帰ります』というメモを机に置いて教室を後にした。
 結局中国さんは、一体誰に頼んだのだろうか?
 そんな事を考えながら校門を抜けようとしたその時、不意に肩を掴まれ、思わず体が震えた。慌てて後ろを振り返ると、寒さで耳を赤くした生徒会長の姿があった。
「お前な、一人で帰るつもりか?」
 片眉を上げ、その翡翠色の瞳が不機嫌そうに陰る。日本からは はぁ としか言いようが無い。
「お前は危機感がなさすぎんだよ。仕様がねぇ、オレも今日本屋行くつもりだったから、一緒に帰ってやるよ」
 顔を真っ赤にさせたイギリスにぶっきらぼうに言われ、またもや日本は はぁ というしか無かった。
 
 日本が夕飯を作る、というので一緒に買い物をし、特に用事も無い本屋に行って彼女が「好き」と言った作家の本を購入し(勿論、元から欲しかったんだ!と言い張ったよ)おんぼろな本田荘まで結局しっかりと見送ってしまった。
「それじゃぁオレは帰る。」と言えば、彼女が「お茶を飲んでいってください」というのをちょっと期待していた。そしてやはり、彼女はそう言った。
「ちょっとお待ち下さいね」自分は茶の間でへんてこで小さな丸く背の低いテーブルの前に座り、彼女は制服の上にエプロンを付けて台所に消えた。
 なんだこれ?もしかして今彼女の部屋(間違い)で二人っきり、という所だろうか。静まれ心臓!
 再び出てきた彼女が持った盆の上から、心地よい紅茶の匂いと、甘いチョコレートケーキの香りが鼻孔を付いた。
「先程買って来たんです。紅茶がお好きだと聞きまして。」
 と、彼女が微笑みながら自分の目の前に紅茶とケーキを置き、彼女自身も自分の分を丸いテーブルの上に置きそっと座った。
 …こんな時、一体何を話したら良いものだろうか?カッチコッチという時計の音だけが妙に室内に響き居心地が悪い…
 最後の一口を飲み干すと、そっとチョコレートケーキをおいしそうに口に含む彼女を盗み見た。あの美しい黒髪が電気に照らされて光っている。
「そろそろオレは帰る。紅茶うまかった。」と、言いつつ隣に置いておいた鞄を掴むと、彼女は目を大きく見開き、明らかに困惑な色を見せた。
 自分は、彼女のその様子に逆に驚き目を見開く。これは、どういう状況なのだろうか…?
「…すみません、引き留めてしまって。今日は有り難う御座いました」
 目を伏せ、囁く様にお礼を言う彼女に、もしかしてまた彼女は勘違いをしてしまっているのだろう、と体内に不安が籠もる。ああもう!まったくどうすればいいんだ!
両手で頭を抑えて、ぐわんぐわんともんどり打ちたかったが、勿論そんな事は出来ない。頭の中でした。ただ二人、無言のまま固まった石の様に微動だに出来なかった。取り敢えず帰ってしまっていいのだろうか?否、いけないだろう、決して!
 じゃぁどうしろというのだ!だ、抱きしめたりとか?否、だめだろう!
 ゴーン ゴーン と、突然時計の音が鳴り、わひょっ! と思わず変な声が出かける。あ、あぶない……
「…イギリスさん?」
 不思議そうな声を出して、中途半端に立ち上がった自分を上目遣いのまま見上げて尋ねた。ああ、可愛い。
「なぁ…その、ええと、何だ……どうか、したのか?」
 グツグツと体内の血液が沸騰したした様になりながら、一世一代の告白の様に尋ねると、彼女の真っ黒な瞳がユラユラ揺れた。
「…いえ」
 呟いた彼女の声も体も、微かに震えている。何が、いえ、だ。
 音を出した大きな置き時計を見やると、ああ、そうかと思う。この時間になると、まだ思い出して恐いのだろう。一人で居るのは耐え難いのかもしれない。
 身を乗り出して、そっと彼女の髪に触れると、ビクリと彼女の肩が震えて自分を拒絶したが、気にせずにテーブルを乗り越えて彼女に近付く。
 彼女の手がそっと自分の服を掴み、「ごめんなさい」と呟いた。
「気にするな。オレを中国だと思え。」ふん、と鼻を鳴らし言うと、彼女がクスクスと喉を鳴らし笑う。彼女の柔らかな匂いがコチラにまで届き、ふっと意識が遠のく気がしたまさにその時、
「あいやー!不潔ある!この間男!」ドカッと後頭部に鞄がぶつかり、思わず横にぶっ飛んだ。てか、間男の使い方が違う。
「ちゅっ中国さん!違います!ああ、大丈夫ですか?!」
 と彼女がコチラに走り寄ってくるのを、中国が「ダメある!」と引っ掴み抱きかかえた。
「お兄ちゃんはお前がこんなヘタレな奴の彼女になるなんて許せないある!我より強いの連れてこい!」
 中国はビシッ!と音が立つ様な機敏な動きで中国がコチラを指さし、カッと目を見開いて声を荒げた。
「なっ、何言ってるんですか!もう!離してください!」
 日本が怒って中国を突き放すと、彼の背景に『ガーン!』という音が響き渡りそうな程顔を強ばらせる。ざまぁみろ!
「頭痛いですよね。大丈夫ですか?」大丈夫ですか?と駆け寄ってきた彼女は、眉を歪めながら繰り返し繰り返し尋ねくる。心配そうな瞳がジッとコチラを見やる。たまらない程美しかった。
「…いや、大丈夫だ。」多分。 取り敢えず立ち上がると、固まったままの中国の横をすり抜け玄関に向かった。
 自分の鞄を手にした日本が追いかけてきて、そっと其れを差し出した。受け取り先程の髪の感触を思い出し、思わずまたその髪に手を伸ばしてから、ハッと気が付いた。
 慌てて伸ばしかけた手を上に上げて じゃぁ と言った。
「はい。それではまた明日」
 彼女が柔らかに微笑んで、自分におしとかやかに手を振った。
 先程の彼女の香りと、髪の柔らかさを思い出して思わず夜道、一人で赤面した。