学パロ

 

メモ用に書いた筈なのにノリノリになった学園パロ(日本総受け)

 

※ 日本は女の子です。後年齢は実史をまったく考慮してません。
   それからここに登場した人物のみ設定公開です。

 

学パロ
 
 
今回は体育祭です。
四月に入ると更新が停滞するので、今もの凄い早さで月日が流れていますw
普通、体育祭でフォークダンスなんてするのかな?しないよね。
しないだろうけど、此処ではするのだよ。ふははははは(変なテンション)
 
学パロの命はベタさです。それが全て。
 
本家様でのポーランド設定にエラク萌えた私が来ましたよ。
今回初対面なポーランドを書きたくて登場して頂きました。
 
因みにウチの高校ではご飯中にダンス部,器械体操部,新体操部が演技をしてくれました。
ダンス部は可愛い子がめちゃくちゃ多くて(女子校です)みんなご飯どころじゃなくなります。手にカメラ持って追っかけます。笑
その上その時間帯になると塀とかよじ登る知らないお兄さんとか現れ、先生はダンス部どころじゃなくなってました。
近隣のお宅ではマンションの屋上から各学年のダンスが終わるとお弁当摘みながら拍手してます。誰だあんたらwって感じでした。
 
なんか、思い出話しちゃった…
 
 
第九話
 
 
 ギンギラと強い日差しが全校生徒の上に降りかかり、開会式で校長は『体育祭日和』なんて言ったが、これは些か暑すぎる気がした。
 額に垂れた汗の筋を手で拭いながら砂まみれになったプログラムを手に、日本は空を仰ぐ。太陽が憎い。
 昨日イタリアがくれた小さな白い花の付いた髪留めのピンが、落ちてくる暑苦しい髪を抑えてくれるものの、暑さには昔から強くは無かった。
 次は学年別のフォークダンス。恥ずかしくてあまりやりたい種目ではないし、一体何のためにこの種目存在しているのかも分からないが、とにかくコレが終了したらお昼ご飯だ。
 足が速い為なのか、先程からリレー、二人三脚と走りっぱなしだったので、その休憩は大変有り難かった。
 
 音楽と共に最初に手を繋いだのは同じクラスで隣の席の、ラトビア。
 いつも通りビクビクプルプルと震え、その様子はどう頑張ってもハムスター以外の何者でもなくて、思わず日本は微笑んだ。
 その頬がとても赤いから、きっと彼も暑いのだろう。と、最後のお辞儀をしつつ彼と離れる。
 もうすぐ一週するのでは? と言うときに、次の人の手を取って思わずハッと目を見開いた。そして、相手も同じ様に自分を見やる。
 彼はあの、地中海の瞳を持った青年、スイスだった。
「同じ、学年だったんですね」
 クルリと回りながら尋ねれば、「ああ」と彼は怒った様な、あの口調で返してくる。
 踊りの通り一度近付いた身体を離すと、もう一度クルリと回らなければならないのに、日本はピタリと足を止め、つられスイスの動きも止まった。
「あの、あの時のお礼を……」
 動きが止まった二人を不思議に思ったのか、隣の組がコチラを見ている事に気が付き日本の声が萎む。大音量でかかった音楽が彼女の台詞を霞ませた。
 じっと、まるで射る様な目線を日本に向けていたスイスが、不意にその身体を屈ませてグイと顔を向き合わせる。
 その白い掌が日本に伸び、思わず日本は目を瞑り肩を震わせるが、訪れたのはこめかみの上辺りにパチンという小さな衝撃のみ。
 一度瞑った目を開くと、パラパラと髪が落ちてきて、やっとあの小さな衝撃は彼が自分の髪留めを取ったからだと気が付いた。
「それでは、コレを頂こう。」
 手に自分の髪留めを持ったまま、彼があの口を少しだけ歪める様な笑みを浮かべる。
 あの時と同様、彼の金髪は暑い太陽の光を受けて輝きながら遠ざかった。
 
 
 音楽が終り、取りかかった次の相手(イギリス)の手を離し、兄が待っている所へ向かう。終われば自主解散。
 そんなにフォークダンスが疲れたのか、気持ちガックリしているイギリスさんの背を叩きフランスさんが笑っていた。それを横目で見つつ兄の元へ向かうと、彼はカメラを片手にニコニコと微笑み手をブンブン振っている。
 振り返そうと自分も右手を挙げた瞬間、クラリと一瞬目の前が真っ暗になり、右足から力がカクンと抜け落ちた。
 不意に崩れかけた身体を、誰かが後ろから抱き留める。大きな手がシッカと自分の両肩を支えてくれていた。
 見上げれば、少々驚いた顔をしたドイツの薄く蒼い瞳がジッと日本を見つめている。
「顔が赤いな、大丈夫か?」
 ドイツに顔を覗き込まれ、日本は慌てて自力で一歩踏み出し少しだけの笑みを浮かべて言った。
「大丈夫です。お昼ご飯にしましょう。」と、日本がそう言えば、ドイツは少しだけ顔を反らして「そうだな」と呟いた。
 
 
 午後の種目が始まり、ライン引きを終えたドイツがふと目線を上げた先に友人と歩く日本の姿を見留、思わずその横顔を目で追いかける。
 次の競技は綱引きか。彼女にはあまり似合わない競技だ。と、そんな事を考えながらボーっとしていると、後ろから後輩のフィンランドが不思議そうな声を上げた。
 振り返りいくつかの言葉返し、何気なく目線を彼女に戻した所、彼女が先程まで立っていた場所に小さいながら人垣が出来ている事に気が付き思わず会話中のフィンランドを押しのけてそちらに向かう。
 後ろでフィンランドが何かを言っていたが、それを聞かないフリして校庭の外へと向かって歩いて行くと、その小さな雑踏から上がる声がやっと耳に入ってくる。
「えー、ちょっとマジでぇ?にほーん」
 人垣の中から酷く中性的な声がし、それは困惑とかとどこかかけ離れていた。
 人より幾分背が高い為に、そこまで身を乗り出さないでも中が見え、思わず横に居た人から割り込み、日本の横に膝を付いている金髪の少年(胸が無いからそうだと勝手に決めつける。それほど中性的だった。)の肩を掴む。
 不意に掴まれた彼は、クルッとコチラを振り返ると、その緑色の瞳で無表情のままじっとその目線をドイツに注いだ。
 そのあまりにも冷ややかな視線に心情的に一時怯んだものの、今はそれどころでは無い。
「どうしたんだ?!」
 思わず荒げた声にも、自分の険しい表情にも少年は微塵も怖がる様子も無く軽く首を傾げて眉間に皺を寄せた。
 その少年の横で、先程まで自分が目で追っていた少女、日本がグッタリと身体を地面に仰向けのまま横たえている。その顔は赤く、いつもの大きな瞳は硬く閉ざされていて、酷く息が荒い。
 先程辛そうだったのを思い出し、内心舌打ちをしつつそっとしゃがみ込み顔を覗き込む。
「あんた、誰?」
 顰めたままの眉で、酷く不審気に金髪の少年はドイツを睨みつけ、日本に近付くのをその手で制す。
「ドイツ、彼女とは同居人だ。」
 その言葉で不意に金髪の少年の緑色の瞳が緩み、顰められた表情もゆっくりと解かれていく。
「なんか日本、急に倒れちゃってぇ」
 間延びする声と共に、軽く彼が肩を竦めてみせる。それがどうやら素だと分かるのに、ドイツには少々の時間が必要だった。
「兎に角、保健室に連れて行くぞ」
 そっとグッタリとしたままの少女の身体の下に腕を差し込み、そっと右肩の上に担ぎ上げると、少しだけ苦しそうに彼女が呻いた。
 我慢してくれ、と、胸中で囁き、もう大分厚くなった人垣を掻き分けて医務室に向かおうとすると、先程の金髪の少年が自分の横に付いてくる。
「オレ、日本の事は知ってるけどあんたの事知らんし。」
 見上げてきた彼の顔は笑っているが、その目はまだ不審の色を漂わせている。
 勝手にしろ、と呟きそれでも足を止めずにズンズン校舎を目指して歩いていると、途中で見知った顔に数人すれ違うが挨拶などかましている暇など勿論無い。
 中国に今会ったらどんな反応をするのか、と、少々興味深くはあったが、そんな恐ろしい事は想像すらしないでおこう。
 
 
 原因は、やはり熱中症だった。
 大量の水を飲ませ涼ませてやれば治ると言われ、冷房のキンキンに効いた保健室で彼女を寝かせると、近くの椅子に腰を下ろす。
 保健室の教員はけが人の手当に追われ部屋には居なく、先程の金髪の男は扉の近くにぼうっと突っ立ったままじっとドイツに目線を送っているのを、自分の背中でビシビシと感じ取る事が出来た。
 不意に口を開いたのは、金髪の男の方。
「ねぇ、あんた日本の事が好きなん?」
 まるで天気の話をするかの様に、(ドイツにとって)凄い事を尋ねられて、思わずビクリとドイツの肩が震える。
「だったら、なんだ。」
 顰め面を作り、自分のあんまりの返答にも頭を抱えてしまいたくなる。ただ、彼女が多少苦しそうであるが寝入っているのが、唯一の救いであった。
「別に、なんも。オレはポーランド。あんたは……ええと…」
「ドイツだ」
 二度目の名乗りに、ふぅん、とさして興味なさげにポーランドは一つ頷くと、 じゃぁ、オレは帰るし と言って保健室を後にする。
 出て行く瞬間振り返ったドイツと目が合うと、ポーランドは少し楽しそうにその緑の目だけで微笑む。
「そんじゃ、また」と、軽く言ったポーランドは日本が寝ている事への配慮は無いのか、と思える程適当にドアを閉め、その為大きな音が室内に響いた。
 楽しそうに駆けていく足音を聞きつつ、ドイツは溜息を吐いた。なんだか、やな予感がする。
 
 苦しそうな彼女を見守ると、やはりこの間の事が思い出されてならない。あの、彼女が風邪で伏せっていた時。
 あの時程自分の無力さを痛感した事は無かった。
 もし自分が彼女の兄ならば、もっと彼女を安心させたであろうし、イタリアの様に柔らかな雰囲気を持っていたら辛さも和らげられたかも知れない。
 外では最後の種目、色別リレーが始まる頃になってようやく日本は目を覚ました。
「……ここは?」
 掠れた声色でそっと、独り言のつもりなのだろう様に囁く。小さな声。
「保健室だ。熱中症で倒れていた。」
 誰も居ないと思っていたのだろう、彼女はコチラに目線を送ると、その目を大きくさせて驚いた。
「すみません、私……」
 自分の事を情けなく思っているのだろう、消え入りそうな声色に何か言ってやりたくなるけれども、自分の語彙力からそれを絞り出す事は困難である。
 取り敢えず保険医を呼びに行こうと椅子から立ち上がると、日本は弾かれた様にその身を起こす。が、大きく揺らいだ。
 慌ててその肩を押さえ転びそうになるのを支えてやると、辛そうに彼女はその頭を右手で押さえて目を瞑った。
「保険医を呼んでくる。」
 一言そういって宥め様とするが、逆にその言葉で日本は首を振りつつ立ち上がろうと足を動かす。
「私は大丈夫です。それよりも最後のリレー、アンカーなんです。」
 出来るだけ他人に迷惑を掛けたくない、と、眉間に皺を寄せて訴えてくる彼女の肩を抑え宥める。
「それならイタリアに頼んでおいた。」
 え、と相当予想外だったらしく、日本は驚き目を見開いて動きをピタリと止めた。それもその筈、イタリアといえば相当の運動音痴なのだから。
「黄色のアンカー、誰だか覚えてるか?」
 日本と自分、そしてイタリアの色は青であるから、当然黄色は敵である。暫くじっと考えていた日本が「あ」という呟きと共にパッと顔を持ち上げた。
 黄色組のアンカーは、そう、彼女の兄である中国。この間メシを食いながら「アンカー同士って事は日本と走れるあるか!楽しみある」とにこにこしていたのを恐らく彼女自身も思い出したのであろう。
「さっき状況を見てきたのだがどうやら青は黄色に僅差で勝っているらしい。
 ……あいつは、逃げ足だけなら異様に速いからな。きっと中国からも逃げ切るだろう。」
 妹だと思っていたのに出てきたのは同居人の男、ときたらそりゃぁ中国は猛スピードで追いかけるに決まっている。そしてイタリアは何だか恐ろしい中国に、訳も分からず泣きながら逃げるだろう。
 ふ、と強ばっていた日本の頬が思わず、という感じで緩みその顔から少しばかりだが笑顔が零れ、つられて自分の頬も緩んだのを覚えた。
「終わるまで大人しく寝てろ。もう大分調子も良くなってきている。」
 立ち上がりかけた日本を再びベットに押し戻すと、その布団をかけ直してから自分も先程の椅子に座り直す。
 日本の瞳がかたく閉ざされたカーテンに向かい、まるでその向こうの景色でも眺めているかの様にジッとそこから漏れる光を眺めている。
「……なんだか、ドイツさんにはこんな所ばかり見せてしまっていますね。」
 数分の沈黙を破ったのは、ポツリと小さく呟いた日本であった。感情の籠もっていないその呟きに思わず顔を持ち上げ、彼女の自分と反対を向いた顔をジッと見つめる。
 ゆっくりとまたコチラをむき直した赤い顔が、潤んだ瞳が、弱った身体が酷く自分の胸の奥を動揺させた。
「……ドイツさんと一緒に居ると気が緩んでしまうみたいですね。」
 ダメですね。と、柔らかに微笑む少女に、自分の動悸があまりにも速まり、何故か泣きだしてしまうのでは無いか、と不意に変な不安が胸を締め付ける。
 何かを言おうと口を開くも、そこから言葉が出てくる事は無い。
「きっと、似てるんでしょうね、私達。」 と、自分では無く彼女が囁いた。
 それから慌てて 気を悪くさせたのなら、すみません…… と眉を曲げて謝罪する彼女を手で制して、「いや」と首を振る。
「いや、きっと似ているんだろう」だからこんなにも助けてやりたくてたまらないのだ。
 思わず顔に苦笑が浮かび、出掛かった溜息を無理矢理押し込みジッと瞼を閉ざす。
 初めて会った時、自分よりも口下手で不器用な人間がこの世に存在しているのに、まず驚いた。彼女の兄などはあんなに自分を主張出来るのに。
 それからは唯ずっと、その手を取ってやりたい、と、そう思えてならなかった。
「ドイツさん?」
 どこかへ飛んでいた思考が、彼女の呼びかけによって不意に戻ってきて慌てて閉ざしていた瞳をパッと開いて彼女を見つめる。
 薄暗い室内でもそれと分かるほど、彼女の瞳は真っ直ぐに自分を向いていたが、自分と目が合うとスッと反らされた。
 外では凄まじいという程の歓声が上がり、静かな室内を更に静かにさせるかの様である。
 それから校庭での実況がコチラにまで響いた。一位、青組と。
 日本が思わずクスリと喉を鳴らし、手で口を覆いながら小さく笑う。
 
 そこの扉からやがて泣きながらもトロフィーを持って転がり込んでくるだろうイタリアと、青筋を立ててそれを追いかける中国を想像して自分までも思わず頬が緩んだ。