ごった煮 軽く性的なアレが入りますので、駄目な方は読まないで下さい。ほんと軽いですが。
それから勝手に私の中で鷺(サギ)=狂気だったんだ(・∀・;)智恵子抄の人生遠視の鳥は勝手に鷺だと思い込んでた。
その上鷺(サギ)=狂気は常識だと思い込んでいたんだけど、本格的に全くそんな事一つも無いらしく吃驚した。
私は一体何にそう思い込まされたんだろう……orz あ、私もそうだった!って方大募集!!多分一人も居ない。
 
 
 
英日
 
 
 シュル、と音を立てて彼の帯が解かれ、合わされていた裾が開き無駄な脂が一切付いていなく、そして白く自然でささやかな筋肉が付いた身体が露わになった。
 この小さく一見ひ弱そうな身体で、一度剣を握ると人が変わった様に俊敏に、そして力強く動くなんて、見なければ想像すら出来ないだろう。
「日本」
 彼の名を呼び招いた自分の声が予想以上に熱っぽかった事に自分で思わず恥ずかしさすら感じてしまう。が、彼は何も思わなかったらしく自分の声に応えて、その恥ずかしそうに伏せていた瞳を持ち上げた。
 黒く何処にも見ない美しさで、まるでガラス玉の様な瞳。
「……日本」
 もう一度囁くと、彼の首のラインをそっとなぞり仰け反らされた其処にそっと顔を寄せた。一度舐める。まるで陶器の様な触感に思わずぞわぞわと粟立つのを覚えた。
「イギリスさん」
 彼が熱の籠もった声色で一つ、自分の名を呼ぶモノだから体温は下がることなど無い。
 白い肌を滑るように撫で、その頬を両手で包み込むとキスと同時に舌を差し込む。ザラザラとした感触。彼独自の香り。声。汗。全てが混ざり合い自分のプライドなどどうでも良くなる。
 彼を押し倒したベットのスプリングが悲鳴を上げた。
 その白い首筋に吸い付いたまま舌を這わせると、彼は控えめな嬌声を上げながらその腕をそっと伸ばしてくる。そして閉じられた自分のシャツのボタンをプチプチと慣れた手つきで外していく。
「お前、初めてじゃ無いな。」
 軽い衝撃を受けて顔を持ち上げれば、赤い顔をした彼が一瞬キョトンとしてから、フッと目を細めて微笑んだ。
「それが、どうかしましたか?」
 その酷く落ち着いた問いに、間髪を入れず いや と答える。
 いや、今はそれどころではない。それどころでは。
 夜には珍しく、窓の外で鷺が一声鳴いた。
 
 
米日
 
「そんなの、仕舞ってください」
 野暮だと、思った。
 先程まで布団の中で縺れ合った仲だというのに、彼は事が終わると己の拳銃、コルトを解体し掃除し始めたのだ。
 その拳銃は派手好きの彼にはちょっと不釣り合いだと言うほど質素に見えたのだが、彼はソレに酷く愛着を抱いていて、今でも肌身離さず持っている。
 この国では銃刀法違反だというのに。
「ねぇ、次のお相手は誰?」
 カシャン、と音を立てて拳銃の手入れを終えたアメリカが、クルリと振り返りニッコリと微笑んだ。
「……さぁ」
 軽く肩を竦めてそう返事をすれば、銃口が自分の眉間に向けられた。黒く冷たい塊。
「たまにね、君の両足を切り落としてやりたくなる。そしたらきっと、君は今よりずっと綺麗になるんだ。そうだろ?」
 ウキウキと子供の様に彼が笑って言う。自分も、それは素敵な考えだと笑った。
 それは決して彼が本気では無いから、とかそんな事が理由では無い。彼は、きっと本気だ。
 銃口がゆったりと落ちていき、自分の素肌を滑り心臓の上で止まる。
「君の代わりに、オレが君の役割を担ってやったっていい。君が居なくなったら凄く寂しいだろうけど、今よりましだろ。」
 笑う彼に身体を伸ばして口付けてから、そっとその下唇を噛んでやる。
 カチリ、と銃は間抜けな声で鳴いた。
「ああ、残念、弾切れだね」
 本当に残念そうに彼が笑うから、自分もまた彼から離れると小さく肩を竦めて微笑む。
「あなたに殺されるなら、本望ですけれどね」
 そう笑う。
 例え生死が関わっていようが、もう一々一人一人相手になどしていられない。
 
「冗談だよ」 と、嘘を吐きながら彼は自分にキスをした。
 
 
 
露日
 
 
「馬鹿げているね」
 にっこりと微笑んだ彼が、そう行った。いつもと同じ顔で。
 鷲鼻に糸の様な美しい金の髪、それから一見柔和そうな笑顔が彼の特徴であり恐ろしさでもある。
 ぬっ、と立っている彼を寝っ転がったまま見上げ、ズキズキと痛む脇腹にソッと手を当てた。
 いつ蹴られたのかすら、今にも飛んでいきそうな意識の中では分かりはしない。
 ただ、触れただけでその箇所は悲鳴を上げ、脂汗が額に沸き上がる。
 
 昔は抵抗をした。
 自慢の愛刀を振りかざし睨め付けもした。
 けれど、今はその愛刀も奪われ、抵抗といえば逃げるかしか無くなる。彼は詰まらないと文句を垂れる。
 ならば何故自分に構うのだ。と、怒鳴ればこのザマだ。
 ズキズキと右の脇腹が絶えず悲鳴を上げ、視界が妙に揺らぐ。揺らぐ。
 刀を奪ったのは彼だ。否、正しくは彼等だ。
 丸腰になった自分を縛り付けて、足枷を付けて、それで守ってやると言うのだから笑ってしまう。
 何か酷く重いモノが腹に落ちてきて、思わず体を『く』の字に曲げてむせ込んだ。
「抵抗してよ。つまんない。」
 何処か哀願じみたその声色に、思わず笑いが漏れた。
 引き裂かれる布の音も、どこか遠くで聞こえる賛美歌の様だと思える。
 
 耳元で、鷺が鳴いた。
 
 
英日
 
 
 夢に見るほどあなたを思っているなど、一体誰に言えるのだろうか。
「イギリスさんっ」
 叫び声に似た声色で、思わず彼を呼び止めれば、振り返った彼の瞳が大きく揺れる。
 日本 と、声に出さずに囁き、彼がそっとコチラに手を伸ばす。が、その指先だって触れることは無いのだ。
「日本、行こう」
 と後ろに立っていたアメリカに手を引かれ、彼との間が大きく開いた。
 さよなら を言う暇も無い。言う余裕もない。
 ただあるのは沈黙ばかり。