ドクドクと、一定の速度で心地よいリズムが、耳の裏で刻まれる。漂っているその世界は、全体が幸せで出来上がっているのでは無いかとさえ、思えてくる程だ。
そんな夢から醒めるほんの瞬間、『これが夢でありませんように。』と、見果てぬ世界の神様なんかに祈ってみても、所詮夢は夢でしかない。シャボン玉が弾けるように目を醒まし、そして誰も居ない台所を見て密かに絶望する。
母親は自身を望んでいたと、あの世界を漂っているときはそう確信していたのにも関わらず、一度出てきてしまうと、どこもかしこも寒くて居づらい。寂しいような、悲しいような、可哀想な気さえする。
暗くなった台所に立ち竦んだピーターは、蛇口から垂れ落ちる水音に、ジッと耳を傾けさせた。どこからか寒気が忍び込んでいるらしく、靴下を履いてさえ尚指先が痛いほど冷たい。
水音しか聞こえない、冬の夕方独特な薄暗い中、廊下から異質な物音を覚え、彼は振り返り大きな目を磨りガラスの向こうへと向けた。ズリズリという這う音は、恐怖よりも懐かしさを彼に与える。
SAMSARA 06
撤退の旨が綴られた手紙が届いた後、一週間後にこの地を後にすると彼等は言った。が、数ある逢瀬の内の彼の言うことには、一度沖に出た後船を岩穴の中に隠し、暗闇に紛れて小舟を出し菊を迎えに来ると言う。
アーサーの言葉に、菊は真剣な様子で頷いてはみせても、本当の所夢物語であるようにしか思えなかった。菊にとって、彼のその計画は、叶うとは到底思えない。
けれども頷いたのは、その夢物語に賭けてみたいと、人生で一度だけでも大きな賭け事に挑戦してみたかったのだ。
「丑三つ、林の出口の岩場で待ち合わせよう。」
両手を握られ、グイと顔を近寄らせそう言われると、菊は緑色の一人に見やられて胸の奥が蕩け出すような心地がする。アーサーに強く握られた手の内が、酷く熱い。
菊は最低限の物をバッグに詰め込みながら、過去の事を思い出していた。結局は今回もまた夢物語で終わるのだろうと思っているのだけれど、それでも彼が手を引いてくれるのなら何度でも駆け出してしまう。
まだ兄は帰宅して居らず、それが逆に菊を安心させる。なぜそんなにも責任を覚えているのか分からないが、今まであまりにも彼を巻き込みすぎていた。
今回の待ち合わせ場所は出来るだけ人通りの多い場所で、という事で街でも賑やかな通りの小道という事になった。大きな荷物を抱え、菊は通りを歩く人々の顔の中に彼がないかと懸命に見やる。
けれど時間が過ぎても彼は一向に現れず、大きな溜息は白い靄となって空中にかき消えた。携帯を確認しても彼からの連絡は一切入って居らず、コチラからかけてみても誰も出ない。
三十分程経過して、もう来ないのではないだろうかと思い始めた頃、不意に背後で声を掛けられた。
「菊?どうしたの、一人で。あぶないよ。誰か待ってるの?」
そう言い細められたフェリシアーノの灰色の瞳の中に、怪しい光が一線宿る。いつもの人懐っこい笑顔とはまた違うその笑みに、菊は思わず一歩退いた。
アーサーは甥っ子の為に弁当を買いながら、ピーターの実家に寄るルートを考えていた。前とは違い、どこに逃げればいいのか何て全く分からない。
兎に角寒いところに行けば追いかける側も億劫になるのでは、なんて馬鹿らしい思いつきで、取り敢えず北を目指すつもりではあった。夜汽車の切符を今からとれるのか不安であったが、金も無いし交通機関は専ら電車などの類になるだろう。
何よりもピーターをどうしようかと、それを今考えなければいけない。電話にも出ない親戚の家に直接いかない限り、彼を返す事は出来ないだろう。が、本当にピーターを実家に返して良いのか、よくわからない。
幼い頃の自分の様に、家の中の誰も彼を相手しないのだと考えると、家に連れ返すのもどうかと思える。
「ただいま、ピーター良い子してたか。」
鞄を自室に放り込み、台所へと続く扉を開く。けれど辺りは真っ暗で、嫌に静かで誰もいないような気がして、アーサーは辺りを見回す。
取り敢えず電気のスイッチを探し当てて押すと、一気に部屋は明るくなりその全容が見える。アーサーがピーターの暇つぶしの為に与えた白紙の紙に、黒い線がグチャグチャに引かれ、辺り一面に散らばっていた。
アーサーがギョッとする間も無く、台所で仰向けに倒れ込んだ影を見やり、駆け寄る。ピーターはグッタリと倒れ込んで目を瞑りアーサーが呼びかけても一向に目を開けようとはしない。
慌てて救急車を呼び、電話を切ったとき、倒れた椅子の足に付いた何かがキラリと光った。アーサーを抱えたままその光に手を伸ばすと、それは何やら魚の鱗の様な物で、電気に透かすと、魚とはまた違う色に光る。
「……なんだ、コレ。」
そうアーサーが呟いた瞬間、玄関のチャイムの音が鳴り響く。
ピーターは、恐らく椅子の上に立っていて落ちたとき頭を打ち、軽い脳震盪を起こしたというものだったらしい。軽い脳震盪だというのに、ピーターは中々目を醒まさずアーサーは病院で寝かされたピーターの隣で溜息を吐いた。
今はピーターの傍に居たいから、菊に連絡を入れようと何度も電話が使えるような所に行ったのだけれども、何度かけ直しても菊は電話口に出てこない。
もう約束の時間から30分も過ぎたというのに、やはり尚も菊に電話は繋がらなかった。仕方なく一度屋上に出て、再び電話を掛け、何回目かの呼び出し音が不意に途切れ、彼女の声がする。
「菊。もう約束場所に行ってしまったか?悪いが、今手が離せないんだ。」
『……はい、でも、大丈夫です。』
いつもどおりの声色で、彼女は無理をするように努めて明るくそう言う。思わず吐き出しそうになる溜息を抑え、曇って星一つ見えない空を仰いだ。
「明日、話そう。」
『はい。』
電話の向こうの返事を聞いた時、不意にアーサーは眉間に深い皺を寄せる。変だ。
雑踏の中に居る筈なのに、彼女の後ろからは何の物音もしないのだ。どこか静かな喫茶店にでも入っている事も考えられるが、菊の性格から考えて、その可能性は低い。
「……今、建物内に居るのか?」
アーサーのその問いかけに、菊は暫く黙り込んで応えようとはしなかった。が、やがて申し訳なさそうな声が電話の向こうから聞こえてくる。
『すみません、寒かったもので近くの喫茶店に居ます。』
「ここから近いから、今から行って家まで送る。」
アーサーはそう言うと、微かに目を細めて彼方のネオンを睨み付けた。昔と何もかも変わらないというのは確かに有り得ないが、何となく違和感を覚えてしまう。
『……いえ、アーサーさんは目が覚めるまで傍に居てあげてください。』
いつもの様に、優しい声色でそう言った彼女の言葉に、尚アーサーは表情を強ばらせる。
「……誰だ。菊は、どうした。」
アーサーはピーターの話は一度だってしていない。彼が倒れた事も、勿論彼女が知っている筈が無いのだ。それなのに関わらず、彼女は先程『目が覚めるまで傍に』と、確かに言った。
電話の向こうの”何か”は『え、』と驚きの声を上げた後、喉を鳴らして笑い声を上げた。その笑い声は耳になれた菊のものでは無く、低く冷たさのこもった男のものである。
『ばれちゃった。中々頭がまわるんだね、意外だなぁ。』
そのセリフを聞いた瞬間、アーサーの脳裏に一人の男の影が映り、背中に寒気が走った。彼の姿は、冷たい蛇のごとく生気を感じさせない。
彼はいつもの様な笑顔をその口に浮かべているのが、ありありと想像出来た。
「菊は?菊はどうしたんだ?なんでお前が出るんだ!」
『ふふ、怒鳴らないでよ。君が僕のオモチャをとったんで、僕が邪魔するのは当然じゃないか。』
アーサーがその言葉に反抗するよりも早く、相手の言葉はいきなり遮断される。慌ててもう一度電話をかけ直すけれど、ひたすら通話中の音が流れ続ける。
「クソッ」悪態を吐き電話をポケットに押し込むと、病室で眠るピーターを一目見てから、そのまま街へと駆け出す。今まで薄暗い所に居た為か、ネオンがあまりにも眩しくて思わず細めた。
約束していた場所に向かう為、約一駅分駆けたけれど、それでも時間は一時間半ほど経っていて、約束の場所には彼女の姿は無い。体の中が熱く、寒いのに汗が滲み、喉の奥がカラカラに渇き言葉を喋るのさえしんどい。
大勢の人が不思議そうな目をアーサーに向けるが、今はそれどころでは無い。近くの喫茶店を覗いてみても、彼女の姿は見つからず呆然とその場で立ち竦む。
電話は通じない、姿は見あたらない……せめて、彼女の家が分かりさえすれば、帰っているのかどうなのかぐらい分かるのだが、ソレすら知らない。
菊が目を覚ますと、辺りは暗く、異様なほど体が重い。起き上がれば頭の奥が痛く、状況を理解するのに何分も掛かってしまった。
起き上がりぼんやりと窓に目線をやると、そこが今まで一度も来たことが無かった事に、ようやく気が付き、ベッドの中から飛び起きる。そこは家でも無い、来たことも無い部屋であった。
最後の記憶は、アーサーを待っていた時にフェリシアーノとルートヴィッヒと出遭った事だ。その時人を待っている旨を伝えると、そればらばとフェリシアーノが暖かいコーヒーをくれたんだ。
「目が覚めた?倒れちゃったんだよ、菊。オレの家すぐだったから、連れて来ちゃった。」
にっこりと微笑んだフェリシアーノが顔を出して、オロオロとしていた菊の為に電気を点ける。
「……倒れた?私がですか?」
不審そうな様子で眉間に皺を寄せる菊に、フェリシアーノは眉根を下げて笑う。菊はフェリシアーノの後ろに設置されている時計を見つけ、その針が深夜の3時をさしているのに気が付き、慌てた。
「すみません、私行かないと。」
「行くって……どこへ?もう電車も出てないよ。」
それでも、と菊が家を出て行くものだから、フェリシアーノも仕方なくその後を追いかける。
街は既に殆ど人影もなく、酔っぱらいやゴミを漁る野良猫などしか居ない。閑散とした空間に、勿論菊の探し人はおらず、菊はぼんやりとその光景を見やりながら肩を落とした。
携帯に不在着信もメールも来てはいない。……呆れてとっくに帰ってしまったのか、それとも元々ここに来てなど居ないのかも知れない。
それは願ったり叶ったりなのかもしれない、けれど、どうしてかまた惨めにも希望を抱く自分が、確かに居た。ゆったりと力が抜けていき、地面に膝をつきそうになった菊を、後ろで立っていたフェリシアーノが慌てて支える。
菊は真夜中に屋敷を抜け出すと、真っ暗な林の中へと迷わず走り込む。指先さえ見えないほどに黒い森の中を、先程から子猫が後を追い掛けてくるものだから、菊はその小さな体を抱き上げ、また走った。
恐らく見つかる事はないだろうけれど、もしも菊が居ない事に気が付いたなら、それこそ屋敷はパニックになるだろう。そうなれば、見つかる可能性も大いに出てくる。
どれほど来た時か、不意にそれまで雲に隠れていた月が顔を出し、その月明かりが林の中を照らし、菊は目の前に広がる異常な光景を目の当たりにした。今宵は水の匂いが強く、直ぐに雨が降ってくるだろう。
それまで音など一つもしなかったのに関わらず、菊が足を止めた瞬間から、辺りは蠢く音で支配される。それは落ち葉の上を這う、スルスルと何かが擦れる音だ。
暗くて全く気が付かなかったのだが、菊の周りをいつの間にか、多数の蛇が取り囲んでいたのだ。
菊は微かな悲鳴を上げ、思わず後ずさる。けれども既に周りをグルリと取り囲まれ、前にも後ろにも、もう行くことは叶わない。
その時、菊の腕に抱えられていた子猫がスルリと菊の腕から抜け出し、一番近くに居た蛇に飛び掛かる。恐怖でおののいていた所為で、いつの間にか猫を抱く力を弱めていたのだ。
菊は声を上げて猫に手を伸ばすが、猫の威嚇する声を聞き、その腕を引っ込めた。彼が、行けと言っているのが分かる。
「おいで、早く!」
それでも叫び声に近い声色でそう呼び掛けてみるが、子猫は菊に目を向ける事も無く蛇に向かい威嚇をしていた。月明かりは風が強い所為が直ぐに隠され、ほどなくして厚い雲が微かに唸り声を上げる。
夜目が利き始めていた菊も目を凝らさなければ何も見えない。そうであっても分かるほど、中でも見たことの無い程巨大な蛇に向かい、子猫は威嚇をしていた。
急いで菊は袂の中に何か入れていないかと探るけれど、それよりも早くに子猫は蛇に飛びかかり、その目に向かい爪を向けた。けれども爪は当たることなく、蛇は飛び退き、体をグルリとくねらせる。
その反動で振り上げた尾が、子猫の小さな体に当たり、子猫は小さな声を上げて吹っ飛び、近くにあった木にぶつかり、軽い音を立てて地面に落ちた。
「ヒコナ!」
菊は泣き出しそうな声で猫の名前を呼び、駆け寄ろうとするが、微かな鳴き声が彼女を押しとめる。いつの間にか蛇は尚数を増し、既に菊は猫に近寄ることさえ出来ない。
仕方なく菊は蛇を避けながら、真っ直ぐに走りだす。急げば、どうにか猫を助けることぐらいは出来るかも知れない、そういう一心であった。
「アーサーさん!アーサーさん!」
けれども直ぐに右足の足首付近に鋭い痛みを覚え、菊は危うく転びそうになる。それでも出口に向かい叫び声を上げ、藻掻く。霧状の雨が降り始め、林の中を一層黒くさせていた。
再び着物の端を噛まれ足下をとられると、今度はそのまま足が縺れて倒れこむ。菊は顔を隠す為にかぶっていた頭巾をとり、姿勢を低くしていた蛇に向かい放り、噛み付こうとしていた蛇の牙を一時防いだ。
「菊!」
自身の名前を誰かが叫び、菊は慌ててそちらに視線をやれば、林の出口付近だろう場所で松明がユラユラと燃えているのが見えた。
菊はその声に励まされたかのように立ち上がると、彼の名前を呼び返す。
「アーサーさん、ここです。」
菊の声色が異常である事に気が付いたアーサーが、慌て駈けてきているらしく、松明の移動が速い。
「菊、大丈夫か!」
松明で蛇を焼き払いながら、アーサーは咬まれた右足を引き摺る菊に腕を伸ばす。彼女にまとわりついていた蛇を炎で焼き、アーサーは強く引いて菊を抱き留めた。
いつの間にか強くなっていた雨に濡れて冷たくなった菊の体は、微かに震えている。それが寒さの為あ、恐怖の為かは、アーサーには分からない。
第一、いくら蛇の多い地帯だからといって、こうも蛇の大群が居合わせることは、交尾の季節で無い限り殆ど有り得ないだろう。彼女が何度も言っていた「クチナワ様」という存在を思い出し、奥歯を噛みしめた。
「……行こう。」
アーサーは菊の体を引こうとするが、膝を笑わせた菊は歩こうとしない。
「待って下さい、ヒコナが……!」
叩きつけられた小さな体を思い出し、体をわななかせた。アーサーは青ざめた菊の顔を見やるが、彼女の焦点は既にあってはいない。
あの蛇の大群に襲われているのなら、恐らく命はもう無いだろう。そもそも、こんな強い雨の中、松明だけで助け出せるのか、また屋敷側にバレる可能性も十分にある。
「……菊、行こう。」
アーサーに促されようやっく一歩踏み出す物の、菊は雨に濡れているだろう小さな子猫の事を考え、思わず再び足を止めた。
「……私は一緒には、行けません。」
それまで呆然としていた彼女は、妙なほどシッカリと意識を取り戻し、そう言うと悲しそうに微笑んだ。一瞬アーサーはその言葉を理解しきれずに、目を大きくさせてから一度、口を噤む。
菊はスルリとアーサーから腕を引き抜くと、ゆったりとした足取りで距離を取るように後退る。どうしたのか、アーサーは彼女の意志が強固なのを直ぐに見て取り、眉間に深い皺を寄せた。
「私が行けば、沢山の人の首が飛びます。」
微かに震えた声で、菊はそう囁いた。このままアーサーとこの国を出て帰らなければ、確実に違う人々が犠牲になるのだろう。巨大な恐怖の前に、人々は判断さえ鈍ってしまう。
取り敢えず彼女の傍に歩み、そこで菊が崖ギリギリの所に立っているのに気が付き、思わず足を止めて彼女を見やった。雨は小雨となっているけれど、菊はすでにずぶ濡れである。
「ごめんなさい、アーサーさん。私には、出来ません。」
罪に苛まれて生きていくことも、一人おめおめ逃れることも、出来ない。
「……それに、恐らくクチナワ様は呪となりどこまでも追ってくるでしょう。」
「そんなもの、元々存在なんてしない。」
そう、確かに今の今までそう信じていたのだが、先程見てしまったあの大量の蛇が一体なんなのか、今となってはアーサーには説明など出来ない。
けれども、存在しないと言い切ってしまわないことには、自分が菊を得る事が不可能になる。そして、彼女が死ぬことに大きな意義を与えてしまう事になるのだ。
「いいえ……彼は居ます。彼の呪は姿を変え、意志さえ持って、どこまでも追いかけてきます。」
そのままふんわりと菊は笑い、また半歩下がる。どんどんとアーサーから距離を持っていき、やがてこれから一ミリでも下がれば、谷底に真っ逆さまになってしまうだろう箇所でその背筋を伸ばす。
「だから、このままみんなを……あなたを巻き込んでしまうのならば、このまま私は彼に嫁いでしまった方が、幸せです。」
そう言った瞬間、菊は笑顔を崩してくしゃりと泣きそうな表情をした。本当に辛いのが見て取れて、アーサーは無下に何かを言い返す事さえ出来ない。
そもそも、菊はアーサーが近寄れば本気で飛び降りるつもりらしい事を読み取り、一歩、アーサーは後ろへと退く。
「……分かった。だが、また来る。絶対に。もっとお前が納得出来るように、いや、周りが納得できるような理由を持って。」
船を隠しておくにも限度があるし、こちらにも沢山の船員が居る。彼等を家に帰してやらないことにはならない。だから、一度王耀の国でアーサーだけ一時降りて、全て用意しなければならないだろう。
「だから、絶対に待っててくれ。」
期限は、もう殆ど無い。アーサーの弱々しい声を聞いて、菊は再び顔一面に優しそうな笑顔を浮かべてみせた。そしてそれが、2人が顔を合わせた最後となった。
続
どうでも良いチョイネタ。
ウズメ→アマノウズメノミコト
有名な天の岩戸のエピソードで、天照大神を誘い出すためにストリップした神様。
猿楽の元を作った人。因みに巫女的役割も果たしていたとかいないとか。
猿楽は後々能、狂言、歌舞伎の元となる、日本古来の伝統芸能。
日本古来の伝統芸能はストリップ\(^O^)/
橘→弟橘媛
日本武尊の妃。古事記登場人物で鮎が一番好き。
日本武尊がちょっと馬鹿した時、海神の怒りを静めるため人身御供となり、自ら海に身を投じた。
その時「火が燃えさかる野で、あなた、私の名前を呼んで下さったでしょう?」みたいな歌を残します。(めっさ意訳)
んで、日本武尊が彼女を失った事を嘆き、「吾が妻よ!(あがつま)」と言ったので、吾妻という地名になりました。
布巾を蛇に投げる
ちょっと洒落でワンシーン入れました。
大国主命が義父(素戔嗚尊)に苛められるんですが、そこで蛇に襲われた際に布巾を投げて難を逃れました。
ヒコナ→少彦名神(スクナヒコナノカミ)
理由、小さいから。
蛇
各国で神様(悪魔)となっているこの動物は、生と死、復活、永遠のシンボルです。
脱皮をして新たな生命を得る、みたいなイメージを持たれています。
因みにキリスト教は生きている事が罪(原罪)ですので、生と死、永遠のシンボルである蛇や女性は悪なのです。
日本では良く神様として登場します。大抵が山神様ですよねー
日本は中々数多くの不死身伝説があるので、蛇の存在は大きかったのかも。
八百比丘尼とか、あまり良い伝説ではありませんが。
しかしながら憐れが重大視されているのも、また珍しい文化ではないかと思います。